勉強面倒臭い

小学生のとき、うさぎ小屋のそばで、羽根の歪に生まれた蝉をみつけた。固まってしまった羽根はぐにゃぐにゃでとても飛べそうになかった。私と友達はその蝉を切株の上に置いて励ました。この蝉が何の為に生まれてこれから死ぬのかわからなかったし、羽根のかたちがグロテスクで嫌悪感すらあったからむなしかった。でもそういうむなしい気分に私はほとんど気づいていなかった。言葉を発することで容易に打ち消せる、しかも取り返しのつかないうつろだった。僕はそういう小さな泡のような空っぽを毎日のように生み出して、その都度潰してきた。