灯台へ

まだ読み始めたばかりだけれど、ラムジー氏と自分が似ているような気がして傷ついた。
 
《わしは、人間の無知や宿命、大地を蚕食する荒波の風景から、結局は目を逸らしてしまう。もう少し腰を据えて熟考を続けるならば、何かが得られるかもしれないのに。代わりにわしは、いかにもつまらない家庭的な光景に頼って自分を慰めようとする。それは先ほどまでの峻厳な問題に比べて、あまりに瑣末なものなので、われながらそんな慰謝は軽視し馬鹿にしたくさえなるほどだ。まるで、こんな悲惨な世の中にあって幸せであることは、最も唾棄すべき罪悪だとでもいうように。》
 
《自分の感情を率直に認める勇気がなく、「これが好きだ——これがわたしだ」と明言できない人間の逃げ場所になっている。》
 
ラムジー夫人は美しい繊細なひとで、あこがれる。繊細な人の心の動きをなぞることができる本。
  
心臓だか、胃だかのあたりが、いつもシクシクと痛い。
わたしはよく人から「あなたは強い」なんていわれる。たしかにそういう部分はある。努力もしていると思う。
だけどべつに強いわけではない。いつも胸が痛い。へんな、いやな感じがする。
パワーがあるんだとして、そのパワーをうまく燃やし続けなくちゃならない。頭がぐるぐるにフル回転するときだってある。でもそれを常につづけていなくちゃ、心が爆発しそうになることがある。
今はだいたいうまくいかなくて、数ヶ月に一度心がぶっこわれてああああーってなる。だから薬ものんでるけど、それはもう心の中の燃料をどうにか消費していくことでしか生きていけないんだと思う。
もしそれをしたら普通の人生が歩めないんじゃないかと不安になる。わたしがわたしでいたら、わたしの「ふつう」からはどんどんはなれていく。
その胸の痛みをほじくりかえしてそこの方までいくと、変な力が湧いてきてポジティブになるけれど、死にたいとよく思う。
 
こころもとない気分で佇んでいて、ふとした瞬間にわっと泣きだしそうになる。
でもその理由がなんなのかわからないし、泣いたって、ひとりぼっちだ。この気持ちを共有する人はいない。誰だってそう?
ずっとこうならば死んだ方がましだといつも思う。死ぬよりももっと悪いことはたくさんあるんだ。たとえばこうして生きていることとか。