おそらくは秋の午さがり、けだるい二時ごろの、弛緩した空気と静寂があたりをひたしているなかを、ぽつぽつと雨がふるような、そんな日。
 彼の文章をはじめて読んだときに、思い描いた風景。
 ひとりの青年が、年上の女の家にいく話。
 なまぬるい水の透明さよりも、シンクのひんやりとした銀色をおもわせる。彼のなかにながれている時間は、ある瞬間で止まってしまっていて、宙ぶらりんになったまま途方にくれているような、そんな静けさにみちていた。

好きな人にはちゃんと相手がいるし、やっぱりわたしがいなくても、その相手と仲良しでいるほうがずっとただしい。
わたしに飽きてしまうことのほうが、望まれるべきことだと思う。
 
自分のきもちは、まったくさしおいてだけど。
好きになればなるほどそう思う。
わたしのことなんか忘れてしまう、それが本当に相手の幸せな状態だからだ。
わたしの入る隙間がある関係ならば、その隙間をうめてみることを試して欲しいと思う。だってさみしいじゃん。
 
そこに向き合ってくれた後でなら
どんなことだってうけてたつと思うくらいには激しい人間だし、すごく人を好きになれる人間だとおもう。
だから中途半端はいやなんだ。
でもまぁ、好きな人がもとめているのは、かなしいかな、そういう中途半端な状態なんだろうな。
 
その一瞬だけは、ほんとうにきれいだから、美しい風景をみるたびに、きらきらしたものが積み重なっていく。
でもどうしてそれを必要としたのか、ということに、向き合う時間はつくってほしいなとおもう。
 
それっきりになるならば、それはそれで、すごくすごくさみしいけれど、きれいな思い出ですね。
さしでがましく、嫌われるのかもしれないけれど、伝えたいこと。
わたしは、好きな人には、ずっと失恋してる。
悲しいよ。

美しい思い出だけたくさん積み重なっていく
薄い氷のミルフィーユみたい
意味なんかなくて、いつか溶けて消えてしまう
だいたいそんな関係しか築けない
りんごをむいたりしたいのに
生きることはずっとひとりみたい


276 山羊座6度 暗い森へと続くアーチ道の下に横たわっている10本の丸太
暗い森は、未知の体験への旅だ。その森につづく道の下に丸太がころがっているのは、旅の前に片づける問題があることを暗示。新しく出発するために必要な基礎的な準備を固めておこうとする姿勢だ。山羊座の6度〜10度は、社会を統率している情感的な深層心理的な側面に関心をもつ。そのため丸太というのは、社会の根底にある土台であり、民族的な神とか、土地の神様とか、地域の精神を象徴とするような力や無意識的に社会を支える集団の本能的な土台を暗示。新しい未知の体験に向かう際の、自分自身の姿勢を根底からもう一度考え直し点検すること。深い資質に気がつくこと。社会的な活動をする場合にも、現象面だけにとらわれず、古い歴史を踏まえて、根底から考えようとする姿勢。 自分を抑えて周囲に溶け込む

277 山羊座7度 ヴェールに包まれた預言者が、神の力にとりつかれて語る
社会集団や、地域社会を支えている、集合無意識的な土台に気がつくと、地域や社会はそれぞれ、あるシンボライズされた人格神のような象徴で把握することができる。もちろんこれは目に見えない、人々の意識の深い部分にあるエネルギー状態のようなものなのだが、こうした集団を支える集合的な魂と同化し、その意志の媒体となることができる。地域性に根づいた集団魂とのチャネリング能力によって、多数の人に指導的な助言を与えることのできる人だ。過去の拘束を突破して、人を未来に勇気をもって進ませるきっかけとなることも多く、ときには、超常的な透視能力や透聴能力として発現する可能性もある。地域性ということがひとつの鍵になっている。 見えないものに目を向ける


279 山羊座9度 ハープを運ぶ天使
国家は地球が支えている。地球は、太陽系が支えている。太陽系は銀河系が支えている。これら複数の層でなりたっている自然界や宇宙のリズミカルな波動や磁力に対して、うまく同調することができる。宇宙的なリズムに対する理解と同化だ。中世では、天体や宇宙を支えているのは、無数の天使だと思われていた時代があったが、美しいハーブの音を奏でながら空中を飛ぶ天使のシンボルから想像される。優雅で素直な資質は、この度数の持ち主に共通してあらわれる雰囲気だともいえる。ものごとを頭で決めない。予定を考えない。すべては、宇宙的な力の潮流に運ばれるまま、独特ののんびりした人格をもっている。 焦らず自然のリズムに適応する

280 山羊座10度 アホウドリが船員の手から餌をもらっている
攻撃的な気質をもたない人は、野生の動物と仲良くすることができる。平和で温和な気質のおかげで、違う種類の生物や人と、協力しあうことができる。あらゆる生命や人は、それにふさわしい生存位置で自分の役割を果たしているが、これら全体をもう一度結びつけ理解しあう可能性を開くには、まず、自分自身のなかにある、ほかの存在への恐怖感や警戒心を取り除くことだ。恐怖を克服すると、非常に拡大された世界が待っている。自分の人生の可能性を伸ばす機会をのがすことがなくなる。害がないこと、信頼しあうこと。また依存に対して偏見がなく、ときには依存性も必要だと認識すること。 違うタイプの人々との交流


282 山羊座12度 自然科学についての図解された講義が、ほとんど知られていない生命の側面を明らかにする
一般に知られていない特殊な科学的な知識、あるいは秘教的な知恵を追求する行為は、知性における貴族的なあり方だ。一般にはなじみのない専門的な知識を追求したり、自然界に対する深遠な知識を獲得すること。その研究などに専念できそうな環境に恵まれ、ある保護された状況のなかで研究をつづけることができる。基本的にこの度数の持ち主は、科学的な研究にむいている。対向にあるのは蟹座の12度で、これは権威や、使い古された常識的な価値づけに依存せず、普通の人がなかなか気がつかない日常のなかに隠れた真実の価値を追求する意味。普通だと軽視し、見過ごしがちな事柄のなかに、生命の偉大な神秘があることを発見する、という、鋭い注意力をも象徴している。 理解されないことへの優越感

283 山羊座13度 火の崇拝者が、存在の究極のリアリティを瞑想する
神秘主義者、霊学研究者、瞑想者などが終生追求する意識の冒険とは、死を超えて生きつづける、生命の根源的な創造力に到達することだ。観察したり、見たりする姿勢では決して到達できないもの、生命それ自体を超えたものは、なにか。主観的な意識の探索が極限までいくと、主観意識の根幹に到達する。象徴的に火とよばれるものの研究だ。対向にある蟹座は、研究のために差し出された親指、強い意志を発揮すること。じっとしていてはわからない、強い意志を発揮したときのみ、内的に理解できる原理を実感的につかむ。この度数の持ち主は、極限体験とか、生存のぎりぎりの条件とかに身をおくことに対する強い執着がある。 好きな世界に没頭する


287 山羊座17度 抑圧された女性が、ヌーディズムに心理的な解放を見い出す
心と身体の完全なバランスという観点で、現代人の生き方は、かつての、肉体と精神の分離を教えた宗教の悪意ある抑圧によって、ゆがめられてしまったということに気がつく。そこから多数の神経症が生まれたが、この度数では、もう一度それを本来の正しい健康な水準にもどすために、心身のすべての抑圧をとっぱらってしまおうと考えるのだ。ものごとを判断するさいに、身体で確かめるという姿勢。つまりいかなるものも、自分で見て、自分で確かめないことには信じないというタイプの人だ。16度が、子供の素朴な健康さをあらわすとしたら、17度は、大人が、もう一度子供のような単純な裸の生き方にもどろうとする衝動を暗示している。どんな制約からものがれたいとする願望。自由への希求。 自分の心に忠実になる

288 山羊座18度 イギリスの軍艦からはためく星条旗
かつてイギリス艦隊は、海を守る役割を担っていた。海は、人間の無意識の力をあらわしていて、ここには未知な危険が潜んでいる。この度数は、政治的な力とか、秩序が個人や集団の生活を守り、こうした無意識の世界を統御することに言及しているが、ちょうどこの前の度数、17度で、抑圧を解放し、自由を謳歌しようとした人が、心理的な解放がゆきすぎた結果もたらされる危険を感知して、もう一度自主的に心身を管理したいという姿勢に変化したことを暗示。政治的な力の価値、政治的な力がもたらす危険にも関係する度数。政治的な力も、人が行使しているので、いろいろと誤りや暴走もある。この度数の人は、政治や権力、管理の問題に関して研究する能力がある。 感情をセルフコントロールする


298 山羊座28度 大規模な鳥類飼育場
鳥は霊性の象徴。大規模な飼育場というのも、霊的な世界の種々の情報や刺激が、やや過剰ぎみにこの人にもたらされることの意。鳥は何種類もいて、しだいになにが正しいのかわからなくなる混乱もありうる。しばしば透聴的な能力を暗示するといわれているこの度数も、別の見方をすると、宗教的な団体や多数の霊能力者のもとを訪れ、無数の情報を手に入れ、それに食傷するという出方をするほうが実際には多い。霊世界は、ひとつではなく、霊統という系統づけをすれば、さほど混乱せずに考えることができるが、雑多なアプローチをすれば、かならず矛盾する内容に苦しめられることになるだろう。とりわけ霊的な色あいを帯びた情報をたくさん集めようとする趣味がこの人にある。 物事の完成と新たな予感

299 山羊座29度 紅茶占いをする女性
紅茶占いというのは、ティーカップに落とした紅茶の雫の形を見て、将来などを占う方法だ。おなじように、壁の滲み、雲の形などからも、なんらかの兆候を読み取ることはできる。透視能力に関連。日常的な出来事のなかにあらわれた霊的な暗示を読み取る能力。大きな直観力や、ものごとを予知的に観察する優れた才能があることになる。28度が、純粋に霊的な言葉のみに耳を傾けるのに比較して、ここでは実用的な方法で、この透視的な才能や、直観的に兆候を読む才能を生かすのが特性だといえる。ただし、シンボルどおりに、占い師的な才能があるかどうかは、やや疑問が残る。むしろ透視的なイメージから知識を獲得する傾向が強いと思われる。 インスピレーションと現実のすり合わせ


92 蟹座2度 魔法の絨毯に乗った男が、大地の巨大な区域を飛び回る
より高いレベルのものの見方を獲得して、自分の意識を拡大し、いままで見えなかった風景を観察する。ものごとの全体を観察するには、知性が新しい地平線を探索するよりも、むしろ、既存のある種の安定したものの見方を受け入れることで、人はより真実で広大な意識を獲得する。この場合、個人の知性のオリジナルな視野ではなく、ある種の集合的な観点を受け入れる(陰の力へと交換する)ことを暗示するので、個人は個人の知性の探索のあがきをやめ、むしろ安定したものの見方に入るようになる。2次元⇒3次元的な意識や視野の高まりを獲得することを理解。未来予測に関する確かな能力がある。伝統的な、多くの人が使っているものの見方を通じて、ものごとの全体を眺望できる能力。 豊かな環境の中で自分ができることを考える

93 蟹座3度 シャギーディア(毛深い鹿)を連れている、毛布に身を包んだ男
新しい決断と、新しい考え方を獲得した個人は、この新しい生き方のなかで、自分が困難な状況に立たされていることを感じる。しかしこれは深層の心の拡大をテストされている度数で、霊的な方向へ心を移すために、ひとつの孤立が課せられている。生きていく活力を、自分自身の奥に潜んだ源流から引き出すために、彼は孤立して寒々しい北の果てにつれていかれるのである。一見、予感された変化がなにひとつ起こらない事態のなかで、忍耐力と意志のテストがなされている。いらだって、投げ出してはならない。この度数を持っている人を観察するかぎりでは、やはりなにかひとつのことをしようにも、なかなか仲間が見つからないとか、ひとりで努力しなくてはならない状況に立たされやすいようだ。 迷ったときは流れに身を任せる


262 射手座22度 中国人の洗濯屋
人にはそれぞれ育った環境とか、遺伝的な面で受け継いだ個性がある。新しい異質に思える環境のなかで、ときには不安になったり、自己喪失を起こしそうになったときに、自分のもともとの血筋や、個性などを思い出して、自分を取りもどす必要がある。新しい知性が本当に生かされるには、もともともっていた自分の土着的な個性と、新しいものがうまく結びつかなくてはならない。新しく追求された知性が、生まれもった肉体の祖霊的な資質と調和しなかった場合、その人の試みは最終的にすべて失敗するといわれている。海外で失敗する原因はほとんど、この祖霊的な資質の反発だと考えられている。きわめて現実的な面で、自分にふさわしい生き方はなにかをもう一度足元から考え直す人だ。 本来の自分の姿に目を向ける

263 射手座23度 新しい国への入国に必要な条件を満たす、移民の集団
優れた高度な知性を追求し、自分の土着的な資質とうまく調和させた人は、本当の意味で新しい世界に入国できる。精神面と物質面ともに、新しい生き方のなかに入るのだ。新しい環境に入ることで、まずその新しい環境に備わっている規律や習慣なりに順応しなくてはならない状況にきていることを暗示する。新規な条件を受け入れること。その環境に積極的に自分をあわせること。未知の環境、未知の体験。ひとつの新しい生き方への参入。人生のなかで、自分が夢見、求めた新しい生き方を、具体的に体現できる。またどんな異質な環境でも高い順応性を発揮する。自分のやり方を通さず、いったん環境にすべてあわせきってから後の自己実現。 全身全霊をかけて新しい物事に取り組む