言葉にできない感覚が増えていく気がする。色々なことが曖昧になってく感じかな、なんとなく。流れてく雲や水みたいにとらえることが難しくてどんどん自分が薄まってく感じ。
人生の、はっきりとした美しい陰影なんてものはまぼろしのような気がする。そして17才の頃には、もしもわたしが汚い大人になったら、ナイフでわたし自身を殺そうと思っていた。わたしは汚い大人にはならなかったと思うが、清廉潔白でもなければ、美しい歌のなかにいるわけでもない。どんどん大丈夫になっていく。というか、大丈夫なのだ。騒ぐことも、不平不満をいうことも、ほんとうは茶番だと誰でも腹の底ではわかっているんだと思う。許さざるを得ないし、受け入れざるを得ない。川の流れみたいに続いていくもののなかで、はっとしたり、身をかたくしたり。
人が流れにあらがって、何かをどうにかしようとしている姿をみると、なんとなく疲れる。徒労感とか虚無感とかは大昔からずっとあるけれど前よりもはっきりしている気がする。でもそれが嫌というわけではなくて仕方ない気がしている。無意味な正義感とか、網につかまった鳥がもがくような心の動き、そういったものの含むエゴに辟易していると思う。とりもなおさずそれは自己嫌悪であると思う。
こういうことばかり考えて時間が流れていく。そして目の前のいろんなことにだいたい興味がない。人も世界も想像より優しいのが常だ。じゃあよろこびはどこにあるんだろう。